Giulio Cesare

クストゥ作 ルーブル収蔵

ヘンデルのジュリオ・チェーザレを新国立劇場で観劇した。チェーザレ マリアンネ・ベアーテ・キーランド(メゾソプラノ)、クレオパトラ 森谷真理(ソプラノ)、コルネーリア 加納悦子(メゾソプラノ)、トロメーテ 藤木大地(カウンターテナー)、セスト 金子美香(メゾソプラノ)、ニレーノ 村松稔之(カウンターテナー)、等の各氏が演じた。音楽は、リナルド・アレッサンドリーニ(イタリア)指揮による東京フィルハーモニー交響楽団である。

休憩を挟むとは言え、4時間余りに及ぶ公演を飽きさせることもない、各歌い手の熱演ぶりに圧倒された。ヘンデルのバロックオペラ特有のレチタティーヴォとダカーポアリアを見事に歌い上げていた。音楽の美しさや楽しさを背景にオペラの醍醐味を存分に味わうことができた。中でも、クレオパトラ役の森谷氏の透き通っていて明瞭で伸びのあるソプラノが印象的であった。また、バロックオペラの花形カストラートは現代ではカウンターテナーが担っているが、ニレーノ役の村松氏のカウンターテナーは最初男性とは気づかないほどであるとともに、ユーモアのある演技は好演であった。

ロラン・ペリー(フランス)演出による舞台は博物館の倉庫の設定で、登場人物に合わせて彫像が運び出され、観客を歴史の中に引き込む効果をもたらしていると感じた。パリオペラ座でも使用された舞台道具であろうか、一つ一つの彫像や絵画が大きく、オペラ全体の迫力を倍加させていた。