France & Spain Tour 2019

2019年8月11日から8月26日まで、フランス及びスペインを周遊。

8月11日、成田からボルドーへ

ポーランド航空でワルシャワ経由でパリCDG着。タクシーでモンパルナス駅へ向かい、TGVで約2時間、ボルドーに深夜に到着。ibisホテルに宿泊。

8月12日、サンテミリオン(St. Emilion)を訪れる

Unesco City Tourに参加して、モノリス(一枚岩)教会(Eglise Monolithe)を見学。8世紀に聖エミリオンが修行のため隠遁生活を送ったとされ、教会は12世紀に弟子達が石灰岩を刳り貫いて建造したとのこと。広場で昼食、ムール貝が美味。プチトランでワイナリーを周遊。ボルドーに戻り、Intercontinentalにチェックインする前に、ガロンヌ川(La Garonne)を走るボートに乗船。船からボルドーの街並みやシテ・デュ・ヴァン(Cite du Vin)を眺める。Le Quatrieme Murで夕食。ガロンヌ川沿いの広場の夜景が美しく、またブルス広場(Pl. de la Bourse)の水鏡(Miroir d’eau)も幻想的である。

8月13日、ボルドー市内を観光後、サンジャンドリュズ(St. Jean de Luz)経由で、夜オンダリビアに向かう。

Grand Theatreを見学、時間の関係でフランス語の案内となった。新古典派建築、コリント式の柱、9人のミューズと3人の女神、世界で最も美しい劇場の一つとされる。ボルドーを出て、フランスバスクのサンジャンドリュズで下車。ルイ14世とスペイン王女マリアテレーズの結婚式が行われた街で有名。そのサンジャンバプティスト教会(Eglise St. Jean Baptiste)を見学。船底型の天井、中央にはキリストを初めとして聖人像達が立ち並ぶ金色で装飾された豪華絢爛な祭壇、両サイドは木製のバルコニー、センターの空間に吊り下げられた黒船、背側には重厚感のあるパイプオルガンなど、美しい教会である。街中には土産物屋も建ち並んでいて、おしゃれなエプロンを購入。タクシーでスペイン、オンダリビアに向かう。パラドール(Parador de Hondarribia)に宿泊。ディナーはAlamedaにて。ホテルから見たビダソア川(Rio Bidasoa)の夜景が美しい。

8月14日、オンダリビア(Hondarribia)市内を散策後、サンセバスティアン(San Sebastian)経由でビルバオ(Bilbao)へ。

オンダリビアinfoのCarlaがマリアテレーズが結婚式を挙げたサンタマリア教会とカルロス5世城(パラドール)を案内してくれた。サンタマリア教会は、中央祭壇の金色の装飾やステンドグラスが美しい。今はパラドールとなっているカルロス5世城は、10世紀にナバーラ王サンチョ・アバルカが築城した要塞で、16世紀にカルロス5世によって修復されたとされる。城の外壁前面は長方形で黒灰色の壁面が美しく、内部には数々のタピストリーや調度品が残されている。街中にある有名なHermandad de Pescadoresでランチ。魚介料理、中でもメルルーサのスープとイカ墨料理が最高に美味であった。常連客なのかベレー帽を被った老紳士達の談笑する姿が楽しそうであった。サンセバスティアンからビルバオまでバスで行くため、タクシーでオンダリビアからサンセバスティアンに向かう。サンセバスティアン市内のロンドレス・イングラテラホテルに荷物を預けて、ミラマール宮殿(Palacio de Miramar)まで散策。コンチャ湾(Bahia de la Concha)の碧が美しい。午後7時頃発のバスで約1時間半後にビルバオに到着、カールトンホテルに宿泊。

8月15日、サンセバスティアン市内散策

コンチャ湾を囲むように二つの山があるが、街から湾に向かって右手のモンテ・ウルグル(Monte Urgull)と左手のモンテ・イゲルド(Monte Igueldo)のうち、モンテ・イゲルドへ。中心部に戻り、サンタマリア教会を訪れる。聖マリア被昇天祭が開催され、大人形が通りを練り歩いていた。郊外のMartin Berasateguiにてランチ、バスで出かけたので店に辿り着くのに少々苦労。Red MulletやHakeが美味。シェフにもご挨拶ができて感激。夜は、Casa Gandariasなどのバル巡り。花火大会もあり街は大賑わい。

8月16日、バイヨンヌ(Bayonne)とサンジャンドリュズ(St. Jean de Luz)へ

バイヨンヌのニーブ川(la Nive)沿いの街並みが美しい。尖塔が美しいセントマリー大聖堂(Cathedrale Ste-Marie)を見学した後、バイヨンヌチョコのCazenaveで小休憩、Chocolat mousseuxが名物。訪問2度目のサンジャンドリュズではMaison Adamにて昼食。メルルーサが美味しい。サンセバスティアンに戻り、ディナーはバスでゲタリア(Getaria)のElcanoへ。ゲタリアは、カンタブリア海(Mar Cantabrico)に面した美しい港町で、16世紀にマゼラン船団を指揮したエルカノの生まれ故郷で有名で、海岸沿いの散歩道には航海に出た勇者達の名前が刻まれた記念碑も建っている。レストラン・エルカノで魚介のスープやヒラメの炭火焼を堪能。サンセバスティアンに戻ると街は今宵も花火で賑わっていた。

8月17日、エスプレット(Espelette)、サンジャンピエドポール(St. Jean Pied de Port)、パンプローナ(Pamplona)へ

唐辛子の町、エスプレット、家々の白壁に吊り下げられた赤い唐辛子がよく似合う。抜けるような青空の下、緑の自然が美しかった。町の教会まで散策を楽しむ。小さな教会ではあるが、荘重な装飾の施された祭壇、黒木枠のバルコニーなど落ち着いた雰囲気の教会。サンジャンピエドポールは、山バスクを代表する町で、かつてはナヴァール王国の都市として栄え、中世にはサンティアゴデコンポステーラへの巡礼路にある宿場町としても重要な町であった。通りのあちらこちらに巡礼路の印であるホタテ貝のマークを見つけることができる。丘の上の城塞(Citadelle)からの山裾に広がる美しい街の眺望は格別である。途中、ベレー帽のお店の主人の笑顔が素敵であった。ナヴァーラ王国の首都であった闘牛の町、スペイン、パンプローナへ。市庁舎のバロック様式のファサードが美しい。Cafe Irunaは、ヘミングウェイの小説にも登場する店で、店内にはヘミングウェイの彫像があり対面できるし、ヘミングウェイの滞在していた当時の写真も飾られている。泊りは、アルゴマニス(Argomaniz)のパラドール。

8月18日、ビトリア(Vitoria)、ログローニョ(Logrono)へ

ビトリアでは修復中のカテドラルを見学。基礎に水が溜まって柱が歪んでいた。リオハ、ログローニョのワイナリー、オンタノン(Ontanon)で昼食、ワインを堪能。Viura(白)とマッシュルームソテー、Suave Marcio Fabio(白)と赤ピーマン、タラ詰め、Crianza 2016(赤)と白いんげんと野菜煮込み、Reserva 2010(赤)とチキンの取り合わせ。ワインに空気を混ぜるAreator(Oxydonator)が面白い。ステンドグラスにも凝った店であった。

8月19日、ビルバオ(Bilbao)散策

午前中は、ネルヴィオン川(Rio Nervion)に架かるビスカヤ橋(Puente de Vizcaya)を訪れる。ポルトゥガレテとゲチョの町を結ぶ全長160mの鉄橋。エッフェルの弟子アルベルト・デ・パラシオ(ビルバオ出身)の設計により1893年に完成した世界初の運搬橋で、橋桁から吊り下げられたゴンドラが往復する仕組み。まずは橋桁の上を歩き、次いでゴンドラに乗って戻って来ると、橋桁の上からの街の眺望もゴンドラの醍醐味も楽しめる。ビルバオ川の川岸にあるグッゲンハイム美術館(Museo Guggenheim)、前衛的な建物は米国フランク・ゲーリーの建築。蜘蛛型ロボットも展示されている。エチャノベ(Etxanobe)でランチ。イカの料理に魚介スープ、ワインが美味。バスでゲルニカ(Gernika)へ。ピカソの絵画「ゲルニカ」の壁画モニュメントに出迎えられる。バスク議事堂は1937年のナチス空襲の被害を免れた建物の一つで、「ゲルニカの木」と呼ばれる樫の木をモチーフにしたステンドグラスが美しい。議事室も見学でき、当時の議事風景が偲ばれる。中世に、樫の木の下でバスクの自治を宣誓したことに由来するとされる。建物脇には、石柱に囲まれて、今も、樫の木が、植え替えられながら保存されている。ディナーはNebakにて。

8月20日、ビアリッツ(Biarritz)へ

早朝、ビルバオから一路ビアリッツへ、約2時間半のバス旅。ビアリッツは、ナポレオン3世妃ウージェニーが避暑地としていた王侯貴族の保養地として知られている。そのウージェニーの別荘として建てられたオテル・デュ・パレ(Hotel du Palais)に幸いにも宿泊することができた。海岸が美しい。昼食はシェ・アルベール(Chez Albert)にて、鰯料理が最高に美味。食後、白いマリア像の立つ聖母の岩まで散策。紺碧の海と岩場に寄せる白波が美しい。ホテルへの帰り途、チョコの老舗アンリエ(Henriet)に立ち寄る。ホテル前の海岸に並んだ帽子型のパラソルが保養地の気分を盛り上がていた。夕陽に沈むビアリッツの海岸の美しさはまた格別。シェ・アルベールの食事が美味であったので、ディナーもアルベールで。鰯とブイヤベースを注文、間違いなし。

8月21日、トゥール(Tours)、ロワール(La Loire)へ

オテル・デュ・パレのVilla Eugenieで朝食を楽しむ。スペインでも味わったが、ペシュ・フラ(Peches Fra)という桃を平たくしたような果物が美味しい。スペインではパラガジャと呼ぶようである。ビルバオに別れを告げて、トゥール(Tours)に向かう。車中オーストラリアからの老夫婦と一緒になり、会話を楽しむ。トゥール市内を散策。14~15世紀の木組みの家々に囲まれたプリュムロー広場を経てサンガシアン大聖堂(Cathedrale St. Gatien)へ。ゴシック・フランボワイヤン方式の荘重なファサード、内陣の碧のステンドグラスが美しい。トゥールでの宿泊は、Oceania L’Univers Tours。ディナーはLa Chopeにて。水槽の蟹がキュート。

8月22日、ロワール(La Loire)古城巡り

アゼー・ル・リドー(Azay le Rideau)、ヴィランドリー(Chateau de Villandry)、ユッセ(Chateau d’Usse)、ランジェ(Langeais)の城巡り。アゼー・ル・リドーはバルザックの「谷間の百合」の中で、アンドル川の宝石と讃えられているほどの美しい館。タピストリーや調度品、壁面の彫刻、螺旋階段など内部も美しい。ヴィランドリーは、幾何学模様の広大な庭園が圧巻。ユッセはシャルル・ペローの「眠れる森の美女」の舞台となった館。夕刻、電車でトゥールからアンボワーズ(Amboise)へ。ロワール川の夕景、夕日に映えるアンボワーズ城が美しい。宿泊は、La Manoir Les Minimesにて。ディナーは、Le 36にて、魚料理などを楽しむ。

8月23日、アンボワーズ(Chateau Royal d’Amboise)、クロ・リュセ(Chateau du Clos Luce)、シュノンソー(Chateau de Chenonceau)巡り

アンボワーズ、元々は15世紀末にシャルル8世が建立。大円塔ミニムの塔(Tour des Minimes)と螺旋斜路が特徴。ゴシックフランボワイヤン様式の聖ユベール礼拝堂(Chapelle St. Hubert)のファサードの彫刻もマリア像とともに狩りのような場面が描かれていてユニーク。クロ・リュセはアンボワーズから歩いてすぐ近くにある。レオナルド・ダ。ヴィンチがフランソワ1世から与えられた館で、晩年の1516年から1519年に没するまで過ごしたとされる。館の中にはダヴィンチの発明品の数々が紹介されているが、屋外の広大な庭園にも発明品の模型が再現されていて体験できる。Patisserie Bigotで昼食、キッシュが美味。午後、タクシーでシュノンソーの宿泊先のAuberge du Bon Laboureurへ。シュノンソーは、ロワール古城の中で最も美しい城の一つで、16世紀の創建以来代々女性が主で「6人の女の城」と呼ばれているようである。2代目の城主ディアンヌ・ド・ポワティエはアンリ2世に寵愛されたが、アンリ2世死後に正妻カトリーヌ・ド・メディシスがディアンヌを追い出し3代目の城主に収まり、最盛期を迎えたとされる。城内にはロワール川の支流シェール川が流れ、シェール川の碧と空の青がシュノンソーの白い美しい外観をさらに引き立てている。敷地内には、城を囲むように美しい庭園も広がっている。シェール川ではボート遊びもでき、川面から眺めるシュノンソー城はまた格別に美しい。ディナーはAubergeにて。

8月24日、パリへ、そして帰国

シュノンソー駅からサンピエールデコー駅経由でパリに向かう。車中で米国から来たMr. Kaplan夫妻と出会う。一緒にモンパルナスからタクシーで宿泊先のIntercontinental Hotel Le Grandへ。Le GrandのCafe de la Paixにて昼食後、サンジェルマン教会を見学。夕刻、シテ島ノートルダム寺院の近くにあるステンドグラスが美しいSaint Chapelleでヴァイオリンコンサートを聴く。Fous de L’ileにてディナー。長旅を終え、翌日パリからワルシャワ経由で帰国。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレガンス

脚本家大石静さんによると、フランスのエレガンスの真の意味は、自己と他人の双方に対するリスペクトにあるとのことである。フランスやイタリアを旅していると、それなりに人生を生きてきた人々の瞳や言葉、たたずまいや行動に尊厳を感じることがよくある。職業を問わず、人々は堂々としているし、自分の哲学を持ち、自身の生き方に自負や誇りをもって生きているように感じる。見事なティアラにしても、それを身に着ける人にセルフリスペクトの人生観とそれに基いた人生の積み重ねができていない人間には、ティアラは似合わない。お互いにリスペクトし合えるように、まずは自分磨きをしなければと、この年になっても感じてしまう。

骨董の魅力

フランスの蚤の市の様子を伝える番組を見たが、蚤の市には貴重な骨董がたくさん眠っているようだ。とは言っても骨董探しには、それを見出す眼力と見識が必要である。リヨンの絹織物は18世紀中頃、フランス革命前の王室によって支えられ発展し、特に王室画家フランソワ・ブシェ等の素描をモチーフにして金糸、銀糸で織られたタピストリーなどは極めて貴重なものであることを知る。また、ガラス工芸品も、エミールガレ、ドーム兄弟などのアールヌボー時代の作品、ルネ・ラリック等のアールデコ時代のオパールセントと呼ばれる技法の作品など、各時代の特徴、作風や技術の変化などを理解した上で探してみると大変面白そうである。陶器も、一概にリモージュと言っても、リモージュのカオリンは20世紀中頃には掘り尽くされてしまったため、それ以降は他の産地のカオリンが使用されているとのことであり、それ以前のリモージュに価値ありとされるようだ。また、それ以降でもル・タレックによる絵柄のパリ製のリモージュはまたそれで価値があるようである。他に、ベルナール・ヴィルモのポスターなど、骨董にも様々なジャンルがあり、それぞれに奥が深そうである。知らないことばかりだが、最近訪れたナンシーでガレやドームの作品を見てきたばかりということもあり、骨董への興味が一段と高まった。