Belgie Wallonne

ベルギー、ワロン地方

ベルギーは大きくワロンとフランドルの二つの地域に分かれていて、政治経済も社会、文化もかなり異なっている。ワロン地方は、エノー、ブラバン・ワロン、リエージュ、ナミュール、リュクサンブールの5州からなり、フランス語を公用語としている。一方、フランドル地方は、東西フランドル、アントワープ、フラームス・ブラバント、リンブルグの5州からなり、オランダ語の方言であるフランデレン語が公用語とされている。

パリのシャルルドゴール空港から列車でブリュッセルに直行し夕刻に到着、駅前のヒルトンに一泊した後、早朝頼んでおいた日本人のガイドさんの運転でワロン地方に向かった。まずは緑深い丘陵の続くアルデンヌ地方(Ardennes)、ここには古城が点在するが、中でも庭園の美しいアンヌヴォワ城(Chateau d’Annevoie)を訪れた。18世紀の荘園領主の館とこれを囲む広大な庭園には随所に様々に趣向を凝らした噴水があり、人数も少ない早朝の時間、静かに散策を楽しむことができた。館の前の池を白鳥と鴨が気持ちよさそうに泳いでいた。また、館の庭先では孔雀が大きく美しい羽を広げていた。

この一帯にはムーズ(Meuse)川が流れている。ディナン(Dinant)の町は、このムーズ川が造った断崖の下に開けている。シタデルと呼ばれる城砦に昇ると美しいディナンの街とそこを流れるムーズ川を一望できる。サクソフォンの発明者アドルフサックスの生まれた街としても有名で、橋の両端には各国から寄贈されたのか様々なサックスが国旗とともに飾られている。橋の反対側から見ると、ムーズ川の川面に浮かぶノートルダム教会を始めとした街並みやその背後にそそり立つシタデルの断崖が初夏の陽を浴びて美しい。

ディナンの東、ウルト川渓谷の奥深くにデュルビュイ(Durbuy)がある。狭い石畳の小径沿いに石造りのかわいい小店が軒を並べる。お目当はサングリエ(Le Sanglier des Ardennes)でのランチ。ワロンの美味しいランチを楽しんだ後、ウルト川沿いの城や街並みを散策。

デュルビュイを後に、宿泊先のナミュール(Namur)に向かう。ナミュールはアルデンヌの玄関口に位置し、ムーズ渓谷に抱かれた城砦都市である。シタデルは17世紀に築城され、ルイ14世も所有していたことがあるとされる。シタデルは、サンブル川とムーズ川の合流する嘴のような頂きの上に聳え立つ。サンブル川を挟んで北側にナミュールの街が広がっている。宿は、シタデルの山の上にある古城ホテル、シャトー・ドゥ・ナミュール(Chateau de Namur)、バロック様式であろうか荘厳な館である。城砦を長い時間かけて降り、街へ出たが、途中、中腹からの街の眺めが素晴らしい。