伊豆箱根湘南風土記(18)鎌倉 東慶寺

鎌倉の東慶寺を訪ねた。駆け込み寺として知られ、かつては尼寺であった。開山は覚山尼、八代執権北条時宗の妻であり、法名は無学祖元から受けたとされる。後醍醐天皇の皇女、五世用堂尼以来栄えたとされ、墓地奥には、皇女用堂尼の墓が祀られている。用堂尼以降、松ヶ岡御所とも呼ばれ、室町時代には鎌倉尼五山第二位に列せられた。二十世天秀尼は、豊臣秀頼の娘であり、家康の娘千姫の養女でもあったので、江戸時代には徳川家の厚い庇護を受けたとされる。

境内には梅が美しく咲いていた。水月観音像の拝観は叶わなかったが、室町時代の作である本尊木造釈迦如来坐像などは拝観ができた。墓地には、高見順、和辻哲郎、田村俊子など多くの作家、学者が眠っている。

(かまくら春秋『鎌倉の寺』参照)

藤田真央さん Mozart Piano Sonata

藤田真央さん演奏によるモーツァルト、ピアノソナタから、特に好きな曲(メモ)。

4 E-flat major adagio K282, 8 A minor allegro maestro K310, 10 C major allegro moderato K330, 14 C minor allegro K457, 16 C major allegro K545

藤田真央さん 音楽の本質

林修さんと藤田真央さんの対談で、藤田真央さんが、職業としての音楽ではなく、純粋に、音楽を、ピアノを、モーツァルトを愛される姿に感動。また、東京音楽大学の故野島稔学長の『音楽を勉強しつづける人生以上に幸せなことがあるのだろうか』という言葉にも。音楽の本質であるように思う。

池波正太郎 『真田太平記』

池波正太郎の『真田太平記』新潮文庫全12巻をようやく読了した。最も魅了された本の一つに数えられる傑作である。

昌幸、長男信之、次男幸村は、真田家が生き残るために豊臣方と徳川方に分かれたものと理解されがちであるが、この書を読んで、それぞれが各々にとっての義に生きたのだとわかる。人それぞれに定めがあるような人生の中で、それぞれが義を貫く生き方の美学を強く感じた。昌幸は、上杉景勝から受けた恩義を忘れずに徳川に抗する立場を貫いた。また、幸村は、大谷刑部の娘を嫁にしたこともあり、父昌幸と運命を共にし、父亡き後も、半ば負け戦になるとわかっていながらも豊臣方につき奮戦し、大坂夏の陣で最期を遂げた。信之は、本多平八郎忠勝の娘を嫁にして、徳川に忠誠を尽くした。さらに、滝川三九郎のような、与えられえた運命をすべて受け入れていく飄々とした生き方も大いに美しい。真田家を助ける草の者の世界も見事に描かれている。人生は誰もが死に向かって生きていくことになるが、その中で、守るべき価値を何に求めるのか、どこに見出すのかが問われる。

今月は『真田太平記』の世界にどっぷりと浸かるひと月となった。信州、関ヶ原、滋賀、京都、大坂あたりの旧跡をゆっくり辿ってみたい気分である。

News Today (2) 石油による支配

20世紀を支配したのは石油である。そして、今もなお、その支配が続く。20世紀初めに、石油はペルシャで発見された。チャーチルがこれにいち早く目をつけ、海軍のエネルギーを石油に転換。石油が、戦車や航空機に使用されるようになった。第一次世界大戦が終わり、米国において急速に車社会が発展し、石油は社会に欠かせないものとなった。ヤルタ会談後、ルーズベルトの外交がチャーチルに優った結果、米国がサウジアラビアから石油利権を獲得。その後、石油権益を目的とする米国の行動にアラブ諸国が懐疑的となり、オイルショックが勃発。その後も石油が世界の在り様を支配する社会が続く。エネルギーの石油依存度は30%と長い間変わらないという。再生エネルギーへの転換はほど遠いのではないかと悲観的な気持ちにもなる。(NHK、『映像の世紀』参照。)