OPERA Eugene Onegin

オペラ、エウゲ二・オネーギンを新国立劇場にて観劇した。原作、プーシキン、作曲、チャイコフスキーの作品である。

オネーギン、タチヤーナ、レンスキーらの心の葛藤が興味深く、また日本人の感性、感情に共通するものを感じる。

また、オネーギンは19世紀ロシア文学に現れる『余計者』(知性や教養に恵まれながらも、人生に倦怠感を感じ、貴族社会などの社会環境からの孤立、疎外を感じている人々)を現わしているとされる。ロシアのこのような時代的、社会的背景についても理解を深めることができた。プーシキンのエウゲ二・オネーギンは『ロシア生活の百科事典』ともいわれるが、決闘にも法典があるように儀式として行われていたというのも新発見である。

Tatyana: Ekaterina Siurina, Eugene Onegin: Yuriy Yurchuk, Lensky: Viktor Antipenkoなど好演。舞台芸術も素晴らしい。

Giulio Cesare

クストゥ作 ルーブル収蔵

ヘンデルのジュリオ・チェーザレを新国立劇場で観劇した。チェーザレ マリアンネ・ベアーテ・キーランド(メゾソプラノ)、クレオパトラ 森谷真理(ソプラノ)、コルネーリア 加納悦子(メゾソプラノ)、トロメーテ 藤木大地(カウンターテナー)、セスト 金子美香(メゾソプラノ)、ニレーノ 村松稔之(カウンターテナー)、等の各氏が演じた。音楽は、リナルド・アレッサンドリーニ(イタリア)指揮による東京フィルハーモニー交響楽団である。

休憩を挟むとは言え、4時間余りに及ぶ公演を飽きさせることもない、各歌い手の熱演ぶりに圧倒された。ヘンデルのバロックオペラ特有のレチタティーヴォとダカーポアリアを見事に歌い上げていた。音楽の美しさや楽しさを背景にオペラの醍醐味を存分に味わうことができた。中でも、クレオパトラ役の森谷氏の透き通っていて明瞭で伸びのあるソプラノが印象的であった。また、バロックオペラの花形カストラートは現代ではカウンターテナーが担っているが、ニレーノ役の村松氏のカウンターテナーは最初男性とは気づかないほどであるとともに、ユーモアのある演技は好演であった。

ロラン・ペリー(フランス)演出による舞台は博物館の倉庫の設定で、登場人物に合わせて彫像が運び出され、観客を歴史の中に引き込む効果をもたらしていると感じた。パリオペラ座でも使用された舞台道具であろうか、一つ一つの彫像や絵画が大きく、オペラ全体の迫力を倍加させていた。

Orfeo ed Euridice

楽譜イラスト1764

オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」を新国立劇場で観劇した。

オルフェオをカウンターテナー ローレンス・ザッゾが、エウリディーチェをソプラノ ヴァルダ・ウィルソンが演じた。演出、美術、衣裳、照明は勅使河原三郎、冥界の世界を一切の無駄をそぎ落として表現し、歌手の声を際立たせていた。

「オルフェオとエウリディーチェ」はグルックの作、ウィーンのブルク劇場で1762年に初演され、その後途切れることなく世界の歌劇場で上演されている。平明、簡潔に示されたドラマ性、音楽と詩の一体化が聴く者を惹きつける。

オルフェオはギリシア神話に登場する吟遊詩人、全知全能の神アポロンにより竪琴の名手となり、死後琴座となる。その妻、エウリディーチェは新婚早々に毒蛇にかまれ冥府に。オルフェオが冥界に行き、エウリディーチェを連れ戻そうとする。振り向いてはならぬと言われていたものの、耐えきれず振り向いた瞬間、エウリディーチェは息絶えるが、オペラでの結末は如何に。