Goya

1808年5月2日、ヨーロッパ征服の野望を抱くフランス皇帝ナポレオンによって派遣された軍隊に対してスペイン民衆は蜂起して戦ったが、翌5月3日フランス軍によって鎮圧され人々は処刑された。この事件を契機にスペイン全土でフランス軍とゲリラ戦が続いたが、フランス軍はゲリラとの戦闘に疲弊し、1814年にスペイン支配を断念した。しかし、王位に復位したフェルデナンド7世は、民衆の期待を裏切って自由主義を弾圧する圧政を始めた。ゴヤは、「5月3日マドリッドの銃殺刑」により、戦争がもたらす現実を冷徹な目で描いた。そして、1824年には自由を抑圧されたスペインを離れ、ボルドーに移り住み、死ぬまで絵筆を握り続けたとのことである。プラド美術館には、Aun Aprendo(それでもわしは学ぶぞ)と記された素描が残されているとのことである。 宮廷画家としてのゴヤ、「マハ」で有名なゴヤであるが、あらためてゴヤの真の内面を理解することができたように感じた。 いつの世になっても、人と人との争いは絶えることがないのだろうか。悲しい現実である。 (参照:日経新聞2018.8.19)